アレルギー性鼻炎とは

辛い鼻水や鼻詰まり、くしゃみや目の痒みなどの症状にお悩みではないでしょうか。
主に花粉やダニが原因物質となる鼻炎を、アレルギー性鼻炎といいます。

花粉症のように、期間限定で症状が起こるものを季節性アレルギー鼻炎といいます。花粉は一時期に大量に飛散するため、症状がひどくなりやすい傾向があります。とくにスギ花粉は飛散量が多い花粉であり、日本で最も多い花粉症の原因となっています。

一方、ダニが主な原因物質となり、一年中、鼻水や鼻詰まりなどの症状が出るものを、通年性アレルギー性鼻炎といいます。

こんな症状にお困りではありませんか？

• くしゃみや鼻水で、勉強に集中できない。
• 辛い症状によって、十分な睡眠がとれない。
• 症状や寝不足によって、仕事に支障をきたしている。

など、日常生活に支障をきたしている患者さんは、スギ花粉やダニへの対策をおすすめします。

アレルギー性鼻炎の診断をする際には、まずは問診を行います。
現在どのような症状にお困りか、症状の発生がみられる時期や時間、場所などをお伺いします。

アレルギー性鼻炎の発症には、現在の生活環境をはじめ、患者さん自身の体質やこれまでにかかった病気なども関わってきます。また、家族の病歴なども影響するため、可能は範囲でお伺いいたします。

現在服用中の薬剤などがあれば、正確にお答えいただきますようお願いいたします。治療薬を検討する際、飲み合わせなどを考慮するために確認させていただきます。

アレルギー性鼻炎の検査として、当院では血液検査を実施します。
血液検査では、免疫に関係している物質であるIgE抗体の量を調べます。

特定のアレルゲン（花粉やダニなど）に対してだけ反応する“特異的IgE抗体”が血中で増加していることが確認できると、アレルゲンの特定をすることができます。

これらアレルギー反応への対処法、治療法としては

1. 抗原除去と回避
2. 薬物療法
3. アレルゲン免疫療法
4. 手術療法

の４種類があります。

１：抗原除去と回避

アレルギー性鼻炎の予防・治療をする上で大切なのは、原因物質の除去です。
たとえば花粉症の症状は、スギ花粉などの抗原が鼻腔に入ることで発症します。

これらの抗原が鼻腔に入らなければ、発症することはありません。

2：薬物療法

最も一般的な治療法は、薬物療法です。薬を服用したり、鼻の中にスプレーを噴霧したりする治療です。
しかし、薬を服用したからといって、アレルギー体質が改善するわけではありませんので、症状の根本的に改善には至りません。

バイオ製剤（ゾレア®）について

バイオ製剤（ゾレア®）とは、重症と診断されたスギ花粉症の患者さんを対象とした治療です。
アレルギーの原因であるIgEという物質に対する抗体を作って、花粉症の辛い症状を改善します。

バイオ製剤（ゾレア®）は生物から産生されるタンパク質などの物質を応用して作られた医薬品で、化学合成で出来た一般的な医薬品とは異なります。従来のお薬に比べて薬の構造が複雑なため、口から飲むと体内に吸収しにくい性質があります。そのため、ほとんどが注射剤です。

一般的なお薬を服用しても症状が治まらない重度の方や、眠気の強いお薬を飲みたくない方などにもおすすめです。
比較的、短期間で効果がみられます。

バイオ製剤（ゾレア®）の注意点

この製剤は他の抗アレルギー薬とは違い、厳格な投与基準があります。
また、他のお薬同様に適切な投与量・タイミングなどが定められています。希望される方は、ご相談ください。

3：アレルゲン免疫療法

抗原（アレルゲン）を体の中に入れることで、アレルギー体質を改善する方法です。
まずはごく少量の抗原から投与をはじめ、徐々に投与する量を増やしていきます。

この方法はアレルギー体質そのものを改善できるため、治療が終わった後も効果が持続します。

アレルゲン免疫療法には、

• 皮下免疫療法
• 舌下免疫療法

とよばれる治療法があります。

当院では、比較的患者さんの負担が少ない「舌下免疫療法」を行なっています。詳しくは、下記で解説いたします。

4：手術療法

外科的な治療によって、鼻の構造や機能を変える治療です。
重度の症状でお悩みの方に推奨される治療法です。（当院では実施しておりません。）

以上のような治療法は、患者さんのご希望はもちろん、治療効果と副作用を考慮しながら、慎重に決定していきます。

舌下免疫療法は、スギ花粉症のほか、ダニアレルギーがある人に使用できる治療法です。治療する前に、事前検査を実施します。

スギ花粉のアレルギーをお持ちの方に処方する錠剤薬には、スギ花粉を原料としたエキスが含まれています。この抗原（アレルゲン）を少しずつ体の中に入れることで、アレルギー体質を改善させていきます。

アレルギー反応の有無をチェックするため、初回のみ院内にてお薬を服用していただきます。
30分間経過観察を行って問題がなければ、２日目以降は自宅でお薬を服用していただきます。

スギ花粉症の舌下免疫療法の場合、１ヶ月にかかる治療費（診療費＋薬代）はおおよそ3,000〜4,000円程度です。
効果に個人差はありますが、免疫療法の効果によって薬の量を減らすことができれば、費用を抑えることも可能です。

根本的な体質改善（長期寛解・治癒）を希望される方には、舌下免疫療法をおすすめいたします。

まずはお気軽にご相談ください

過去に、スギ花粉SLIT製剤の投与によりショックをおこしたことのある方は、舌下免疫療法を受けることができません。
また、重症の気管支喘息をお持ちの方も、喘息発作を誘発するおそれがあるため投与できません。

そのほか、

• 悪性腫瘍、又は免疫系に影響を及ぼす全身性疾患を伴う方
• 妊娠中の方、授乳中の方
• β遮断薬（カルベジロールなどの高血圧・狭心症の治療薬）を内服中の方

以上の方は治療を受けることができません。

治療によって副作用が出た場合

舌下免疫療法の投与部位であるお口の中に、腫れや痒みなどの症状が出た方は、治療を中止する場合があります。

これらの副作用は投与後数時間程度で自然治癒するケースがほとんどですが、症状が長時間持続する場合は、すぐに相談してください。